ポリエチレングリコール(PEG)鎖の片末端にオレイル基を有し、もう片末端に活性エステル基を有する誘導体とエチレンジアミンとの反応によりPEG鎖の両末端に疎水性基のオレイル基が導入された細胞接着剤(Oleyl-PEG-Oleyl)を合成した。得られた細胞接着剤をHepG2肝細胞に添加することによる凝集塊形成を評価した。凝集塊形成は、時間および濃度依存的に形成された。得られた凝集塊の生化学的機能をアルブミン産生の定量により評価した結果、7日目において細胞接着剤無添加の場合と比較して4倍以上の向上が認められた。一方、両末端にアミノ基を有するPEGにコレステロール基を導入した細胞接着剤(Chol-PEG-Chol)も合成し、リボソーム溶液に添加後のゲル形成を動的粘弾性評価により測定した。Chol-PEG-Cholの濃度が20mg/ml以上の条件においてリポソームゲルが形成した。分解性の経時的な評価により、得られたリポソームゲルは水と接触すると、水の吸収により一定時間で膨潤し、その後水に溶解しネットワークの全体的な分解に至ることが明らかとなった。高い架橋密度の場合には、ゲルの分解速度は遅くなった。ゲルの分解挙動をより直接的に評価するため、デキストランブルーを内包したリポソームゲルを調製した。内包されたデキストランブルーのin vitro徐放実験の結果から計算した拡散指数は0.87であり、ゲルの表面浸食とゲルのバルクの分解がこの徐放プロセスを支配していることが明らかとなった。
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