本年度では研究実施計画に沿ってCETP^<+/->ウサギ線維芽細胞株の作製とクローン技術の確立を行って以下の研究成果が得られた。 1.JWウサギ皮膚線維芽細胞の継代培養を行って、高密度リポ蛋白を制御する血漿蛋白質であるコレステロール転送蛋白(CETP)遺伝子をターゲティングベクターにより新たに640個G418抗生物質耐性細胞株が得られた。そのうちの一つはCETP遺伝子が欠損している(CETP^<+/->)ことがPCR法より確認された。このCETP^<+/->ウサギ線維芽細胞株を増やして、更にサザンブロットなどで解析し、ウサギへの導入を計画している。 2.すでにノックアウトラットに応用されている新しい技術としてZinc Finger Nuclease法を改良し、ノックアウトウサギの作製に応用できることを目指した。Zinc Finger Nuclease法によりウサギ線維芽細胞CETP遺伝子をターゲットするベクターの作製を行った結果、三つのウサギCETP遺伝子部位(エクソン3、エクソン8とエクソン2)を変異させるクローニングベクターが同定できた。この三つのコンストラクトを用いて、ウサギの受精卵へのマイクロインジェクションを行い、30羽の子ウサギを出産したが、PCRの測定によりポジが確認できなかった。現在、マイクロインジェクションを継続しながら、新しいターゲットベクターの作製を行っている。 3.クローンウサギ技術を実用化させるために、家族性高脂血症モデルウサギであるWHHLウサギの胎児から分離した皮膚線維芽細胞を用いて、核移植によるクローンウサギの作製を行った。5羽の仮親ウサギの妊娠が認められた。しかし、出産したのは1羽のみで、子ウサギはすぐ死亡した。現在、WHHLウサギのクローンを作製しながら、我々が作ったヒトアポ蛋白AII遺伝子導入ウサギの線維芽細胞を用いたクローンの作製を試みている。
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