研究課題/領域番号 |
21659081
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
清水 利昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (50468055)
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研究分担者 |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
川原 幸一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (10381170)
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キーワード | 栄養学 / 糖尿病 / 脂質 / 炎症 / 代謝異常 |
研究概要 |
"炎症性の生理活性をもつ新規アディポサイトカインとしてのHMGB1"の観点から、脂肪細胞から分泌されたHMGB1がどのように糖代謝、脂質代謝などメタボリック症候群の病態形成に関係しているのかについて研究を行った。 (1) 脂肪組織における炎症性メディエーターとしての役割の解明では、 HMGB1刺激による、脂肪細胞(3T3-Lladipocyte)からのアディポネクチン、PAI-1、TNF、MCP-1、IL-6などのアディポサイトカインの分泌動態を評価したが有意な変化は認めなかった。しかし、脂肪細胞の肥大化に伴うHMGB1の分泌増加の有無の評価では、脂肪細胞の肥大化とともにHMGB1の分泌が増加し、これはアディポネクチンの分泌とは逆相関の関係にあることを確認した。 (2) インスリン抵抗性、糖尿病、糖・脂質代謝異常との関連についての解明では、 HMGB1刺激による、膵β細胞(MIN6)からのインスリン分泌に変化は見られなかった。HMGB1刺激による、脂肪細胞(3T3-Lladipocyte)のシグナル伝達の評価では7.5分をmaxにP-ERK、P-JNKのシグナルが増大した。インスリン抵抗性の評価は、現在研究継続中である。 (3) 共培養系での評価では、マクロファージ(Raw 264.7 cell)と脂肪細胞(3T3-Lladipocyte)の共培養でHMGB1の分泌が増大するのを確認した。 以上の結果からH21年度の研究成果として、肥大した脂肪細胞から分泌されたHMGB1はマクロファージを脂肪組織にリクルートし、このマクロファージと脂肪細胞の相互作用によるTNF、HMGB1などの分泌増加がさらに脂肪組織における炎症性変化を増大(vicious cvcle)させていること、そしてこの慢性炎症性の脂肪組織からのHMGB1が動脈硬化を促進する要因のひとつとなっていることを証明できたと考察している。
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