自然に存在するマイクロRNAを模した人工的なpre-miRNA配列(artificial miRNA precursor motif : AMPMと命名)を、pol II系プロモーターで転写される遺伝子内に組換えることにより、効率的な発現抑制が得られる系を既に確立している。この系では2つのAMPMを連結することにより、複数サイトをターゲットにすることができ、この際、塩基ミスマッチのある2つのターゲットに対するmiRNAを用いることにより抑制効果を制御できることを見出した。そこで、家族性アミロイドポリニューロパチィー(FAP)のTTR(トランスサイレチン)遺伝子の30番目コドンの一塩基置換を対象に、この変異を含む領域をターゲットとしたpre-miRNA配列をもつAMPMを作製している。この際我々が開発した人工miRNAの系では26塩基のガイド鎖で効率よい抑制が見られたこと、さらにmiRNAの5'側のseed配列の置換が抑制効果に影響を来し易いこと、またsiRNAでは中央に位置する置換がアレル特異的抑制効果を示すことを考慮し、miRNAの中央付近に病因遺伝子変異を設定している。これに加え、オフターゲット効果を避けるために1個のミスマッチを1塩基づつずらして導入した分子も作製している。さらに2つのAMPMによる本来のターゲットサイトに対する抑制効果へ影響を検討するため、上記変異領域以外の領域をターゲットとしたミスマッチpre-miRNA配列を持つAMPMも作製している。
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