悪性リンパ腫のBCL6転座症例において転座のパートナーとしてかかわっていた各遺伝子、CIITA、pim-1、transferrin receptor、EIF4A2、ikarosのDNAメチル化が、悪性リンパ腫の発症、進展に及ぼす影響について考察すること、また、前研究(平成15~17年度:若手研究B・悪性リンパ腫症例におけるBCL6転座に関与する遺伝子の変異と発現の検討)結果との比較検討により総合的な遺伝子診断システムを構築する可能性を探ることを目的に、本研究期間内においては、悪性リンパ腫症例検体のゲノムDNAを用いて、過去に報告したパートナー各遺伝子のDNAメチル化レベルを網羅的に解析したいと考えた。 各パートナー遺伝子(CIITA、pim-1、transferrin receptor、EIF4A2)の5'側上流領域(前研究で突然変異を検出した領域)内のCpGislandにおけるDNAメチル化レベルを、少量のDNAで高感度かつピンポイントに検出する技術であるバイサルファイトシーケンス法を用いて測定した。最終年度である本年度は、実験条件の検討結果をもとに、悪性リンパ腫23症例検体、コントロール(扁桃腺切除術材料)4検体におけるDNAメチル化を解析する作業を完了した。結果、DNAメチル化が検出されたものの全般にその程度は低く、コントロールとの差を示さなかったことから、悪性リンパ腫症例におけるパートナー遺伝子の遺伝子発現や突然変異発生などにCpGアイランドのDNAメチル化状態は関係しないであろうことが考えられた。
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