研究課題
2003年に研究代表者らはマウス精子幹細胞の長期培養系の確立に成功し、この細胞をGermline Stem(GS)細胞と命名した。元来GS細胞は生後の精巣から樹立したものであるが、最近申請者らがこの培養法を胎生生殖細胞に試みて樹立したembryonic Germline Stem(eGS)細胞は、独特のエピジェネティック異常を伴っていた。eGS細胞にインプリント遺伝子周辺のヒストン修飾の異常とクロマチン修飾分子の発現異常があり、その異常が子孫に伝達されることが原因ではないかと考えられる。研究代表者らはこれまでに胎生12.5日以降のマウスからeGS細胞(胎生期の生殖細胞に由来するGermline Stem細胞)の樹立に成功しているが、生殖細胞は胎生期8日には存在しており、その発生直後から劇的なヒストン修飾の変化が観察されることから、異なるステージの生殖細胞から樹立すれば違った表現系を持つeGS細胞を得られると期待される。そこで本年度の研究ではマウス胎生8.5-19.5日のprimordial germ cell(PGC)を対象にeGS細胞の樹立を試みた。これまでの培養条件では生後の精子幹細胞を増幅することはできたが、PGCからのeGS細胞樹立における効率は極めて低いことが問題であった。本年度の研究では培養条件の改変を行い、サイトカインのスクリーニング・血清成分の検討、各種添加物の検討・低酸素インキュベータの使用など、様々な角度から改変を試みた結果、安定的にeGS細胞の樹立することが可能となった。樹立したeGS細胞について、ウイルスベクターによりマーキングし、移植を試みた。
すべて 2010 2009
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