PGC7/Stellaは、初期発生においては、メチル化DNAを能動的脱メチル化から保護する機能を有している。しかし、体細胞に発現させると、逆にDNA脱メチル化が生じることがわかっていた。この分子機構を解析したところ、この脱メチル化は、受動的脱メチル化によるものであることが明らかとなった。また、この機能は、維持メチル化酵素であるDNMT1の機能阻害であることも見出した。一方、PGC7/Stellaと結合するタンパクを解析したところ、ヘミメチル化DNAに特異的に結合するタンパクであるNP95/UHRF1と結合することが明らかとなった。これらの結果から、結合ドメインの解析などをおこなった。 また、PGC7/Stellaの生体内における機能解析をおこなうため、PGC7/Stellaをコンディショナルに発現させることができるトランスジェニックマウスの作製をおこなった。すべての組織において発現するCAGプロモーターの下流に、loxP配列で囲まれたネオマイシン耐性遺伝子、そして、PGC7/StellaおよびマーカーとなるGFP遺伝子をつないだトランスジェニック発現ベクターを作製し、受精卵にマイクロインジェクションすることにより、この発現ベクターを組み込んだトランスジェニックマウスラインを複数作製した。これらのマウスからマウス胎仔維芽細胞(mouse embryonic fibroblast、MEF)を培養し、Creリコンビナーゼ遺伝子を導入し、GFPの発現を検討したが、残念ながら発現が認められなかった。現在、ROSA26座に同様の発現カセットを組み込んだES細胞、および、組織特異的プロモーターに同様の発現カセットをつないだ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスの作製をおこなっている。
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