研究概要 |
【目的】高齢化社会を迎えた現在、医療費の削減や患者のQOL向上実現のために、疾患を早期に診断し、的確な薬効予測に基づく投薬で早期に完治する予防的治療「Theranostics(Therapeutics+Diagnostics)」の確立が重要である。各種疾患の的確な診断法開発のためには、次世代の汎用的診断技術として「蛋白バイオマーカーの同時多項目分析技術」および「迅速簡易測定技術」の臨床診断への応用が急がれている。そこで本研究は、当研究所が独自に開発した超高感度同時多項目測定法(MUSTag法:特許第4111984号、各国移行中)を基盤技術とした新しい診断デバイス作製を目指す。本技術の応用として、現在緊急性を有している新型インフルエンザ対策を最優先させる。飛行機内、空港、感染現場、家庭、開業医、保健所など、大型機器が使用できない場合には、簡便で高感度な診断法が求められている。そのため、次世代のイムノクロマトとして、簡易型超高感度で型別診断可能なイムノクロマト法をMUSTag技術で開発するとともに、ハンディータイプの測定機器も同時に開発する。 【研究成果】本研究にて下記の成果を得た。 1各種インフルエンザ抗体の作製を行い、H1、H5型に関する各種のmonoclonal及びpolyclonal抗体を得た。 2測定機器のポータブル化・多項目同時検出系の構築・迅速検出(20分以内)を目指し、イムノクロマト法の高感度化を行った結果、蛍光法、発光法にて、1,000倍以上の感度向上に成功した。現在、蛍光法の実用化を目指し、企業との共同研究をスタートさせた。 3上記の蛍光イムノクロマト法の測定器機として、10-30万円程度の安価な測定器機の開発を始め、H22年6月頃にはプロトタイプの完成を見込んでいる。これらの組み合わせによる、従来法より1,000倍高感度なイムノクロマト法によるインフルエンザ診断法の確立と薬事申請による診断薬としての実用化を今後目指す予定である。
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