医療資源ベクトル解析法とは、個々の医療資源が持つ方向性と大きさを解析するものと定義し、限られた医療資源を適正に活用することにより、最大の効果が期待できる方法論を確立することを目的とするものである。 3年間で完成を目指す本研究において、医療資源ベクトル解析法を確立するに当たり、初年度に行なったデータの収集・集積法とベクトル解析法の手法をもとに、医療の現状把握を更に進め、日常診療に伴う医療資源をもとに患者満足度・職員満足度の観点から解析手法を更に深め、現在までに教育医療資源・研究医療資源・臨床医療資源など多くの医療資源情報を収集した。 医療資源のうち、人的資源は有形資源でありながら、内部に方向性を有するとともに、外部からの影響も受けやすく、人的資源となる個人の資質や能力をどのように評価するかにより、その資源の持つベクトルは大きく変化することが、さらに明確になった。 今年度の後半にはこれまでの研究成果を基に、国立大学附属病院10施設に対して、診療部門・看護部門・検査部門・放射線部門・事務部門に対して、アンケート調査を実施し、大量のデータのサンプリングを行ない、医療資源の可視化を試行し、医療資源ベクトル解析法の基本的な手法を確立した。各施設における地域性や規模により、実現すべき医療の最終目標が異なるため、様々な医療資源ベクトルを抽出される結果となった。 次年度には、医療資源の時間的・空間的変容について医療資源ベクトル解析法を展開する。
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