研究概要 |
2001年から2009年の阪大病院における院内急変患者のカルテをすべて見直して、分析した。9年間の院内救急コールは286件あった。そのうち134件(46.9%)は死亡退院であり、152件(53.1%)は生存退院であった。19件はPCPSが導入されていた。3件は、現場で緊急輪状甲状靭帯切開が施行されていた。CPA症例は104件であり、31例が生存退院となったが、そのうち21件(20,2%)は神経学的な問題を合併せずに退院した。神経学的な予後が良好な状態で退院した21件のうち3件はPCPSを導入された患者であった。生存退院にとって必要な因子を多変量解析で分析したところ、悪性腫瘍の合併、SOFAスコアが5より大である、夜勤帯に発生している、外来患者に対して入院患者である、コールされた症例がCPAである、という因子であることがあきらかとなった。また、報告用紙だけでは情報は不十分で、カルテから改めて情報を集めなければ正しい情報が得られないということも明らかとなった。一定以上の重症度を有する患者を診療している大学病院において、急変することそのものを減じることには意義はないが、急変後の対応を改善し、結果的には急変後の神経学的予後を改善することに意義があると考えられる。当初よりPCPSなどの高度な救急処置を行えるシステムを導入することは有意義であると考えられた。また、悪性腫瘍合併の場合の急変に対する予想およびあらかじめの患者および患者説明に関しては、現在DNARワーキングを立ち上げ、院内で検討している。早期に現場に救命スタッフが到着しやすいように、エレベーターのシステムを一部改善し、優先的にスタッフが現場に到着できるようにした。今後の院内での予後改善に必要な因子を見出し、よりよい結果に結び付けるような情報を得るために、報告用紙を電子化して、現在4月以降の導入に向けての最終調整中である。
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