2001年から2009年の阪大病院における院内急変患者のカルテをすべて見直して、分析した。9年間の院内救急コールは286件あった。死亡退院を従属変数として、単変量解析を行い、有意となった因子を共変量として多変量解析(二項ロジスティック回帰)を行った。説明変数として挙げた項目は、(1)男性である、(2)65歳以上である、(3)入院患者である、(4)既往歴(糖尿病、高血圧、喘息、高脂血症)がある、(5)悪性疾患を罹患している、(6)入院期間中に手術を受けている、(7)酸素投与されていた、(8)経口摂取していなかった、(9)(介助下も含めて)車椅子以上のADLは得られていなかった、(10)気管切開又は気管挿管されていた、(11)何らかの前駆症状がある、(12)急変前のSOFAスコアーが5以上である、(13)救援チームが到着前にCPAであった、(14)夜間帯に発生している、(15)目撃者がいない、以上15項目とした。これらを解析した結果、入院患者である、悪性腫瘍を罹患している、 夜間帯の急変、SOFA5以上、到着前にCPA症例であった、の5項目が生命予後不良因子であることが分かった。これらの結果より、院内急変は、生命予後を不良とする因子が存在することが分かり、その因子はそれぞれの病院ごとが扱う疾患によって異なる。院内急変の予後を改善するためには、病院ごとの現状に見合った対応が有意義であると考えられる。それぞれの病院の現状を把握するためには、情報収集が必要であるが、当院では、現在、電子カルテシステムを利用して、院内急変症例の登録を電子化することに実現した。平成24年4月より運用開始が可能となった。
|