研究課題/領域番号 |
21659156
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
荻野 景規 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70204104)
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研究分担者 |
中村 和行 山口大学, 医学研究科, 教授 (90107748)
汪 達紘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90294404)
瀧川 智子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90403493)
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キーワード | 大気中浮遊粒子状物質 / PM2.5 / PM10 / TSP / NC / Ngaマウス / 喘息 |
研究概要 |
PM2.5の大気中浮遊粒子状物質の成分の中に水に溶けない粒子状物質と水溶性の成分が存在し、水溶性成分の中に蛋白質が存在することを確認した。さらに、PM2.5の粒子状物質は、全浮遊粒子状物質(total suspended particles : TSP)に含まれるので、TSP、PM10、PM2.5とそれぞれ大気中より分取し、非水溶性粒子状物質と可溶性成分に分け、我々が、ダニ抽出蛋白の点鼻により開発した喘息モデルに用いたNC/Ngaマウスを用いて、気道炎症誘発効果を検討した。PM10より大きい粒子径を含んでいるTSPを異なる季節、異なる地域(岡山、金沢)から分取し、粒子量500mg及びタンパク量50mg相当の可溶性分画を、5日間感作投与、さらに11日目にブースター点鼻投与し、14日目に屠殺し、気管支洗浄液(BALF)中細胞数、肺組織のTh2サイトカイン及びアルギナーゼI、IIのmRNA発現、固定標本による組織学的検討をおこない、BALF好酸球の増加,肺組織Th2サイトカイン、アルギナーゼの発現増加、気管支・血管周囲の炎症細胞浸潤等のアレルギー性気道炎症を示した。さらに、TSPを40ミクロンのフィルターで濾過し、可溶性分画を蛋白質分解酵素で処理しその影響を検討すると、気道抵抗の減少、肺組織炎症所見の改善が認められた。以上より、TSPは、季節、地域に関係なくマウスに喘息様アレルギー性気道炎症を惹起すること、さらにその作用には非水溶性粒子状物質と可溶性分画の蛋白質の存在が必要であることが判明した。すなわち、TSPを吸入することにより感受性の高い人では、喘息が発症する可能性があることを、本研究結果は世界で最初に示した。
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