本研究は、遺伝子発現制御機能性マイクロRNA(miRNA)のプロファイリングおよび制御されるタンパク質のプロテオミクス解析を行うことにより、発がん過程を網羅的に把握し、新規発がん予防法開発に応用できるモデル構築を目的として行っている。平成22年度においては、ヒト正常ケラチノサイト由来HaCaTおよびCS2AW細胞を用いた実験において、紫外線によりアポトーシス経路に関連する遺伝子の発現パターンの変化が確認された。カスパーゼ関連経路および非関連経路のいずれにおいても、アポトーシスを誘発する遺伝子群が活性化している結果を得た。紫外線照射量が強すぎると、アポトーシスは誘発されない結果を得た。また、発がん抑制作用が報告されている物質で処理したところ、物質によって影響を受ける遺伝子が異なることが確認された。これらの遺伝子群に関しては、タンパク産生についても解析を終えている。さらに、DNA fragmentation assay法を用いてアポトーシスへの影響を評価した。これらのデータは、miRNAプロファイリングやプロテオミクス解析と総合的に解析する基礎データとして重要である。現在、同様に曝露した細胞から抽出・濃縮したsmall RNAについて、miRNAプロファイリング解析を行っている。また、ヒト正常ケラチノサイト由来細胞(HNEK)、乳腺上皮細胞(HMEC)、線維芽細胞(NHDF)および前立腺細胞(PrEC)について、まず紫外線に曝露して適度な照射量について条件を決定し、同様の解析を行うべく実験を開始している。
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