研究概要 |
シックハウス症候群などにより室内環境による健康障害が重要視され,また健康増進法の制定に伴い「よりよい健康」を求める機運が高まっている。こういった状況の中で,住宅メーカーの商品開発などの方向性の一つに健康増進がキーワードになってきている。研究代表者らは「陰性荷電粒子優位空気質の生体影響」について,2.5時間滞在型試験,2週間滞在型試験によって,この室内空気室環境がナチュラルキラー(NK)細胞活性を高めることを見出し,in vitro実験系においてもT細胞の活性化やNK細胞の活性増強の所見を得た。仕様としては壁面に70V程度で電圧を施すことによって壁面を陰性に帯電させ陽性荷電粒子(20nmサイズ)を吸着させることによる室内の陰性荷電粒子を相対的優位に保つことと,木炭微粉塗料の塗布を施すことによっている。平成23年度では3名の長期モニター(川崎医科大学倫理委員会承認854)による生体反応を検討した。1名(63歳,男性)は本プロジェクト開発に携わった元社員で,研究開始時点ですでに自宅集合住宅(マンション)に仕様を実施しており,約半年NK活性が60%以上を維持していた。本例では2012年1月20日に仕様をオフとしその後約3か月後のNK活性は50%と個人としては低値を示した。また明らかな副作用は認められなかった。他2例については偶発した疾病あるいは施工状況の不安定さにより明らかな結果を得るに至っていない。
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