研究課題
我が国で、低出生体重児(出生体重:2500g未満)頻度は、この35年で約2倍(2007年:9.70%)にまで増加し、OECD加盟国の中では最も高い。出生体重が低い程成人のメタボリック症候群、2型糖尿病、虚血性心疾患、脳梗塞、高脂血症の発症リスクが高くなる事が多くの疫学データで明らかとなってきた。そこで「生活習慣病の素因は、受精時、胎芽期、乳児期、胎児期、乳児期の環境と遺伝子との相互作用により形成され、そこに出生後のマイナス生活習慣病が負荷されると疾病が発症する、疾病は2段階を経て発症する」という「生活習慣病胎児期発症説」が提唱されている。翻って発達障害児の発症頻度は小・中学生で6.3%(約68万人:2006年)に達し、学年が下がると共に増加傾向にあるとも言われている。両者に関連性があると想定されるが、なお解明されていない。我々は、2005-2007に妊婦198名を対象に栄養状態を、栄養摂取アンケート調査(佐々木式DHQ)と網羅的な血液による栄養分析を妊娠中4回行い、母体は必ずしも望ましい栄養状態にない事を明らかとした。日本では妊娠中の栄養と精神身体発育の関連性を検討した調査は殆どない。出生児は現在3-4歳に達しており、この母親の妊娠中の栄養状態と、これら児の精神発育状態について、乳児発達スヶール(KIDS:3歳0カ月-6歳11カ月用)第5版によるアンケート調査を行う。しかしアンケート調査を始めたところ、転居例が多く、その現住所の確認が極めて困難であった。約半数近く人々が転居による宛先不明として、調査表が返ってきた。今年度はそれら転居した人々の転居先の調査を、旧住所の市に依頼して確認する作業に多大な時間を要した。
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