H5亜型の新型インフルエンザが発生した場合、危機管理対策上、感染伝播阻止のため迅速にH5型を診断する必要がある。現在、ヒトインフルエンザの診断に用いられている迅速診断法はA型かB型かを鑑別する方法であり、新型か従来型かを現行の診断キットで鑑別することは不可能である。現在PCR法による診断に要する時間は、検査施設へ検体を搬入後、早くて半日(約6時間)を要し、ウイルス分離法では2-3日を要する。そこで、本研究では、より迅速に10分以内でH5亜型を特異的に、かつ高感度に型別診断することが可能な検出法を確立し、迅速な感染伝播防止対策を可能にすることを目的とする。 平成21年度は、複数の抗H5亜型HAモノクローナル抗体を認識する抗体を用いて、サンドイッチ法による検出系を作製した。その中で最も感度良くH5N9型のトリインフルエンザウイルスに反応する抗体の組み合わせを特定できた。この検出系の感度は、現在ヒトインフルエンザに際して臨床に応用されている検出法の検出感度よりもさらに10倍感度の高い検出法であることが判明した。現在、数種のトリインフルエンザウイルスを用いてその反応性を検討している。
|