研究概要 |
H5亜型の鳥インフルエンザウイルスによる新型インフルエンザが発生した場合、危機管理対策上、感染伝播阻止のため迅速にH5型を診断する必要がある。現在、ヒトインフルエンザの診断に用いられている迅速診断法はA型かB型かを鑑別する方法であり、新型か従来型かを現行の診断キットで鑑別することは不可能である。現在PCR法による診断に要する時間は、検査施設へ検体を搬入後、早くて約4時間を要し、ウイルス分離法では2-3日を要する。そこで、本研究では、より迅速に10分以内でH5亜型を特異的に、かつ高感度に型別診断することが可能な検出法を確立し、迅速な感染伝播防止対策を可能にすることを目的とする。 平成23年度は、平成21年度に作製したH亜型のヘマグルチニン蛋白を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いた比較的高感度なイミュノクロマト法をさらに改良し、検出感度を向上させた。さらに、エジプトで2007-2009年に鳥類から分離された10株のH5N1ウイルスに対する反応性を検討した。その結果、9株に反応したが、2009年に鶏から分離された1株には反応しなかった。反応しなかった株は4種の亜系統の内亜系統Cに属する株であった。H5N1ウイルスに感染した患者から高頻度に分離されるA,B亜系統の2株には反応した。
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