研究課題
1)脳の形態学的検討:研究開始時点においては研究期間3年間で子どもの虐待死亡例10例程度を予想していたが、実際は1例のみであった。そのため、虐待脳に関するデータの集積を十分に行うことは出来なかった。但し、コントロールに用いる、乳幼児突然死例は35例があり、その脳CTイメージや組織標本を収集することができた。2)脳の組織学的検索:コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)の増加は視床下部-下垂体-副腎システムに悪影響を及ぼし、精神的な問題を惹起する。CRHの遺伝子発現調節に転写因子CREBやCREMが関わっていることから、抗CREB抗体や抗CREM抗体を用いて免疫組織染色を行うための条件検討を行った。いずれも1次抗体20倍希釈で良好な染色が得られた。しかし、コントロールにおいても染色の程度に個体差があり、その解釈方法については改良の余地がある。3)脳のエピジェネティクスによる遺伝子発現の検索:左右前頭回、左右扁桃体、左右海馬回、小脳から採取されたホルマリン固定パラフィン包埋組織切片からキアゲン社QIAamp^[○!13]DNA FFPE Tissueを用いて、DNAを精製した。組織切片3枚から約4μgのDNAを採取できた。次いで、キアゲン社EpiTect^[○!14]Bisulfiteを用いて、バイサルファイト処理を行ったところ約70%から90%の回収率を得られた。予備実験として年齢依存的にメチル化率が増加するO^6-methylguanine DNA transferase(MGMT)遺伝子に着目してPCRを行った。用いたメチル化特異的なプライマーMGMT1F及びMGMT1Rの塩基配列は5'-CTAACGTATAACGAAAATCGTAACAACC-3'、5'-AGTATGAAGGGTAGGAAGAATTCGG-3'であった。PCR産物はバイサルファイト処理DNA30ngでも得られた。以上の予備実験からホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を用いてメチル化DNAの検出が可能であることが分かった。また、1回のPCRに必要とする組織量は2mm×2mm程度であることが分かった。一方、メチル化DNAを検出するだけではなく、それがどのように変化するかを調べるには、メチル化特異的PCR法が適切であるとは言えない。新たな方法の導入が必要であると考えられた。
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