研究課題
生活習慣の欧米化により急性心筋梗塞の発症率が増加している。急性心筋梗塞の早期診断は患者の生命予後を改善することが知られており、早期に心筋障害を検出できる生化学的マーカーが必要である。急性心筋梗塞の診断マーカーとして、トロポニンT(TnT)やCK-MBが知られている。しかし、これらのマーカーは発症から12時間程度経過してから上昇するため、より早期に診断可能なマーカーの開発が望まれていた。最近の研究で、血清におけるDNA分解酵素I(DNase I)活性が、心筋梗塞発症から2時間以内と極めて早期に一過性上昇を示すことが明らかになり、新規な心筋梗塞のマーカーとして注目を集めている。このDNase I活性の測定は5-10時間と時間を要することから、微量な試料から迅速(5分程度)に活性を測定する方法の開発が望まれる。そこで本研究では、マイクロ流路技術を用いて、微量な血清試料におけるDNase I活性の迅速測定法の開発を試みた。マイクロ流路用のサイズスタンダードDNA(100bp、800bp:濃度2ng/ml,HITACHI)にDNase I(TaKaRa)を加え、37℃でインキュベートを行い、マイクロ流路上で電気泳動後、蛍光強度の変化を調べ、時間依存性と活性依存性について解析を行った。マイクロ流路上で泳動後、本来の長さのサイズスタンダードDNAが泳動される位置のDNA量は数分で減少し、この現象はDNase I活性量に比例することから、サイズスタンダードDNA分解に基づく蛍光の減少で、DNase I活性を高感度、迅速かつ簡便に定量化できる可能性が示唆された。マイクロ流路技術により心筋梗塞の早期診断マーカーとして有用なDNase Iの高感度迅速簡便定量が可能であることを確認した。
すべて 2009
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