研究課題
本研究は被害者の死亡時の状況を明らかにするために、昨年度に引き続き寒冷環境に置かれた実験動物をモデルとして、視床下部及び各組織での遺伝子発現の動態を解析した。ddY6週齢雄マウスを用いて、4℃に24時間、48時間曝露したマウスの視床下部、精巣、腎臓の各組織由来のmRNAを用いて、最初期遺伝子c-Fos、寒冷冬眠関連遺伝子CIRP、温度感受性サイトカインHsp70.1、脳下垂体後葉ホルモンオキシトシンの発現量をリアルタイム定量PCR法によって調べた。対照群として、23℃に24時間置いたマウスより得られた各組織由来の対応するmRNAを用いた。得られたデータをANOVAとTukey法(P<0.05を有意差有りとした)を用いて検定した。視床下部における、c-Fosの発現量は対照群と比較して、寒冷曝露24時間後、有意に減少したが、48時間後にはコントロール群と同じレベルまで回復していた。一方、CIRPは24時間で有意な上昇を認め、48時間で減少していた。Hsp70.1は24時間後から増加傾向を示し、48時間後に有意な増加を認めた。精巣においては、c-Fosは24時間後に有意に増加したが、その後対照群と同じレベルに回復した。CIRP及びHsp70.1は徐々に増加する傾向を示したが、48時間では有意な上を認めた。腎臓においては、c-Fos、CIRP共に24時間後に有意な減少を示したが、その後、コントロール群と同じレベルに戻った。Hsp70.1は、48時間後に有意に下降した。視床下部、精巣、腎臓において、オキシトシンの発現レベルについては有意差が認められなかった。本研究で寒冷ストレスにおける体温変化が身体に及ぼす影響について、リアルタイム定量PCR法を用い、mRNAレベルで定量的に明らかにすることができ、また寒冷曝露に対する時間経過に伴う遺伝子発現動態の一端を捉えることができた。
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American Journal of Forensic Medicine and Pathology
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