研究課題
アルツハイマー病と糖尿病の相互的病態修飾に関する機序の研究を行っている。糖尿病がアルツハイマー病病態を修飾する機序として高脂肪食負荷による脳内および血中βアミロイド値の測定を行った。アルツハイマー病トランスジェニックマウスであるAPP/PSマウスに高脂肪食の6か月投与を行った。その結果、脳内βアミロイド値に変化はなかったが、血中βアミロイド値の増加を見出した。今後はこの高脂肪食負荷による血中βアミロイド値の増加のアルツハイマー病病態に対する意義の検討を行っていく。また、アルツハイマー病と糖尿病の相互病態修飾作用において炎症は重要な役割を果たしている。我々は全身炎症が脳環境にどのような影響を及ぼすのか見当を行った。アルツハイマー病ではコントロールマウスに比し、LPS投与後の行動の変容が重篤化、あるいは回復が遅延した。LPS投与後の脳内IL-6濃度を測定したところアルツハイマー病マウスにおいてコントロールマウスに比し、IL-6の上昇がより高度であった。末梢の血中IL-6濃度を測定したところアルツハイマー病マウスとコントロールマウスにおいて差がなかったことから、脳内におけるIL-6濃度の違いは末梢における炎症の違いに起因しないことが判明した。そこで末梢と脳の間にある血液脳関門(Blood Brain Barrier,BBB)の破綻を検討することとしたところ、アルツハイマー病マウスにおいては炎症惹起後のBBBの破綻がコントロールマウスに比し重篤であった。糖尿病合併アルツハイマー病マウスにおいては従来のアルツハイマー病マウスに比べ、脳血管のアミロイド沈着が増悪しており、BBBの破綻が予想される。今後は糖尿病とアルツハイマー病の相互病態修飾作用における炎症およびBBB破綻の役割について検討を行う。
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