(1)超高密度音響映像呈示システムの臨床評価用適正化 これまでに開発した超高密度音響映像呈示システムを病院内などの医療現場で使用可能なように適正化するとともに、情報医療用ブースの中に超高密度音響映像呈示システムを導入して、臨床応用を開始した。視覚刺激についても、人間の弁別域を超える高精細画像が脳深部の神経活性と統計的有意な正の相関を示す自発脳波α2帯域成分を有意に増強することが明らかになっているため、ハイビジョン画像を用いた映像を同時に呈示し、熱帯雨林型の情報環境の再現をはかった。 (2)超高密度音響映像ソフトウェアの臨床評価用適正化 臨床評価用に使用可能な仕様にソフトウェアを適正化するとともに、臨床評価用の運用プロトコルを開発した。特に、超高周波成分をヘッドフォンから聴覚系に呈示した時にはハイパーソニック・エフェクトが発生しないことから、聴覚系以外、おそらく体表面に存在する超高周波成分に対する何らかの未知の感受性が、重要な役割を果たしていることが想定されるため、体表面に効果的に音響情報を呈示するプロトコルを開発した。 (3)気分障害患者を対象とした音響療法の試験的適用 研究計画としては次年度の計画であったが、音響療法を実際に気分障害患者に適用して、プロトコルの開発に着手した。その効果を状態不安、特性不安の両面から評価した。 (4)超高密度情報の生理的効果の客観的評価法としてのPET-Hatの開発 音響療法の効果を客観的に評価するために、被験者に対する拘束を低減した超小型ポジトロン断層撮像装置PET-Hatを開発し、臨床応用への検討を開始した。 (5)音響療法の効果を簡便に評価する手法の検討 被験者に対するストレスを軽減させた状態で音響療法の効果を評価するために、脳波と脳血流との関連を検討し、脳深部の脳血流の変化が、脳波α波の緩やかな変動成分と相関することを示した。
|