研究課題/領域番号 |
21659188
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
|
研究分担者 |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20397699)
|
キーワード | NASH / Bcl-2 / ノックアウトマウス / 肝線維化 / 肝癌 / アポトーシス / Bcl-xL / Mcl-1 |
研究概要 |
アポトーシスによる肝細胞死は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を特徴づける肝臓の実質細胞の変化である。肝細胞におけるアポトーシスの意義とその制御機構を解明することは、細胞死を標的とした脂肪肝炎の進行抑制に向けた治療法の開発に繋がる可能性がある。昨年度までの研究により、肝細胞の生と死はBcl-xL/Mcl-1とBak/Baxのバランスにより決定されていることを明らかにした。本年度はさらに、これらのmulti-domain Bcl-2ファミリー蛋白のバランスにBH3-only蛋白がどのような影響を示すかを検討するために、肝細胞特異的Bcl-xL欠損マウスあるいは肝細胞特異的Mcl-1欠損マウスとBid欠損マウスあるいはBim欠損マウスを交配し、Bcl-xLあるいはMcl-1欠損にみられるアポトーシスがBH3-only蛋白であるBidあるいはBimに依存していることを明らかにした。また、肝細胞特異的Mcl-1欠損マウスでは持続的な肝障害に伴い、肝臓でのコラゲンの産生が増加し、肝線維症を発症した。さらに1年の経過で80%以上の個体で肝癌を発症した。この肝癌はヒトの肝癌と同じようにERK経路の活性化がみられ、AFP、GLP3などの腫瘍マーカーを産生していた。肝細胞の生存は多様なBcl-2ファミリーのバランスの上に成立しているが、このバランスからの逸脱は肝細胞にアポトーシスを誘導し、アポトーシスの持続は肝臓の線維化、発癌を誘導する上で十分条件であることが示唆された。
|