1.血管内皮前駆細胞(EPC)への包合に適切な加水分解性ナノパーティクルの選定 EPCに包合させる微小粒子としてゼラチンマイクロスフェア及びPLGAナノ粒子の取込率を検討した。結果、ゼラチンマイクロスフェアは粒子径を10um以下に調整することが困難であったため、EPCに包合させることがほとんど不可能であった。一方、PLGAナノ粒子においては、粒子径が十分に小さくEPCへの抱合には問題は認められなかった。また、PLGAは100ug/mlの濃度が最も効率良く包合させることが出来、PLGAとアセチル化LDL蛋白を10ug/mlの濃度で事前に共培養しておくことにより、EPCへのPLGAの取込率が飛躍的に向上した。 2.適切な抗癌剤の選定 今後の実験に用いる数種類の癌細胞株(マウス及びヒト肺癌・肝癌・膵癌細胞)に対して複数の抗癌剤(ゲムシタビン・シスプラチン・5-FU・カルモフール・パクリタキセル)の癌細胞増殖抑制効果を確認したところ、カルモフール(2ug/ml以上)とパクリタキセル(5ng/ml以上)の2種類の薬剤はどの細胞株に対しても比較的低濃度で安定した効果が認められた。よって、今後の実験においてはこの2種類の抗癌剤を使用することに決定した。いずれの抗癌剤も脂溶性薬剤であるため、PLGAとの親和性には問題はない者と思われる。 3.加水分解性ナノ粒子からの抗癌薬剤徐放化の最適化 本年度は、上記実験結果を得るために時間を要したため、本研究目的のための実験は試行できなかった。よって、次年度に行う予定。
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