研究課題/領域番号 |
21659201
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 敏 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80393221)
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研究分担者 |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
浅沼 俊彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80379271)
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キーワード | 超音波治療 / ナノサイズバブル / バブルリポソーム |
研究概要 |
【背景】感染性心内膜炎(IE)の疣腫は血小板とフィブリンによって覆われているため抗菌薬を浸透させるのが困難で、難治性の一因となっている。微小気泡存在下で超音波を照射すると近傍組織の細胞膜に一時的な小孔が開く(ソノポレーション)。ナノサイズの超音波造影剤であるバブルリポソームは粒子径が小さいためソノポレーションにより低侵襲的かつ効率的に薬物デリバリーが可能であり、IEにおいても効率的治療が期待される。【目的】ラットにIEを発症させ、バブルリポソームを用いたソノポレーションの疣腫への効果を検討する。【方法】雄性SDラット(n=30)を用い、右総頸動脈より大動脈弁を経由し左心室内へポリエチレンカテーテルを留置し、大動脈弁逆流(AR)モデルを作製した。作製3日後に尾静脈より腸球菌を投与しIEを発症させた。菌注入2日後ラットを安楽死させ大動脈弁より疣腫を摘出した。得られた疣腫(n=8)を用いてコントロール群としてのB(-)US(-)群(n=1)、超音波照射単独のB(-)US(+)群(n=3)、バブルリポソームを注入し超音波照射をしたB(+)US(+)群(n=4)と3つの群で検討した。墨汁入り生理食塩水中に疣腫を固定し、RICH-MAR社製Sonitron2000(周波数1MHz、強度0.7W/cm^2、デューティー比100%)を用いて1秒照射後4秒停止で間歇照射を10分間行った。その後、疣腫の切片を作製し墨汁滴の深達度を4段階で評価した。【結果】AR発症率は67%でありIE発症率は全体の33%であった。得られた疣腫は平均径約2mmで染色深達度はB(-)US(-)群(0)、B(-)US(+)群(0.75±1.07)、B+US+群(1.97±0.93)であった。【結語】バブルリポソームを用いたソノポレーションは疣腫への効果的な薬物デリバリーの方法となり得ることが示唆された。
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