研究概要 |
申請者らは既に2系統の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子改変マウスを作製しているが,同様な方法でヒトEGFR delE746-A750導入遺伝子改変マウスの作製を試みた。ヒトEGFR変異を恒常的にマウス肺に発現させるため、2型肺胞上皮で特異的に作動するSPCプロモーターを使用した。プラスミドはSPCプロモーターとSV40 small T intronとpolyadenylationを含み、SPCプロモーターとSV40small T intronの間を制限酵素で開き、C末端にFLAGタグをつけたヒト全長EGFR遺伝子を組み込み2系統のEGFR del E746-A750遺伝子導入マウスを樹立したが、PCRでdelE746-A750の組み込みが証明されたにも関わらず、20週令で肺発癌が認められていない。現在、既に樹立され5週令で明らかな発癌を認めるEGFR L858R遺伝子導入マウスとの差異を検討している。 既に樹立されてEGFR L858R遺伝子改変マウスEGFR, ERBB2, 3, 4, TTF-1, c-METの発現状態は明らかにし,基本解析を終了した。分子標的化学予防molecular chemapreventionという概念を提唱し、米国癌学会雑誌(Cancer Res)に受理されている。 EGFRチロシンリン酸化阻害薬ゲフィチニブの至適投与法を検討するために,マウスEGFR遺伝子改変マウスに対してA群無治療,B群少量持続6週令よりゲフィチニブ5mg/kg連日経口投与,C群間欠投与6週令よりゲフィチニブ5mg/kg 2週間経口投与,2週間休薬,D群大量投与6週令よりゲフィチニプ50mg/kg連日経口投与を実施中である。並行してEGFR遺伝子改変マウスに対するドセタキセル、ヴィノルビン投与方法の基礎的検討を行っている。
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