研究概要 |
病態下における生体内水素動態を探るため,アナフィラキシー性ショックモデルラットを作製し,基礎的な検討として造影剤投与による門脈血管口径応答について検討した.申請者らが従来用いてきた肺循環障害モデル実験に合わせSPF-SDラットを使用し,ネンブタール麻酔,人工呼吸下で門脈末梢側からカテーテルを留置し,ショック時の門脈口径応答を観察したところ,血管口径100~300で有意な血管収縮を認めた.現在,アナフィラキシーショック時の肝・消化管におけるラジカル発生をみるため門脈・肝静脈・肝動脈の同時採血・肝臓内水素濃度の連続モニタリングシステムの準備を進めていち.他方,ヒトを対象とした生体内活性酸素種を定量的に評価するため,水素水飲水による摂取水素量と呼気水素排気量の差が生体内水消費量であり,さらにヒドロキシルラジカルが選択的に一部の水素分子を消去するという報告があることから,水素消費量から生体内ヒドキシルラジカル生成量が評価推定できると仮説を立てた,成人7名を対象として水素水飲水飲水を行い,2分間間隔の呼気水素濃度と呼気排気量を連続的に60分計測したところ,水素摂取量268±26(SD)μmolに対し呼気水素排気量は159±32μmolとなり水素消費量は1.0±03μmol/min/m^2となった.予備実験で水素摂取時の前腕部皮膚水素を計測したところ皮膚水素放出は摂取水素量の0.1%以下と見積もられた.また細菌による水素水飲水後のメタン生成増加の有無,腸内細菌の増殖を抑制するため抗生物質内服後,抗酸化剤投与後などの水素消費量を検討した結果,水素消費量の有意な変化は認められず,摂取した水素の一部はヒドロキシルラジカルを主とする活性酸素種により消去されたことが示唆された.ヒト生体内では少な<とも1μmol/min/m^2以上のヒドロキシルラジカルが生成されているものと考えられた.
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