研究課題
動脈硬化の発症の機序として、low density lipoprotein(LDL)の果たす役割が重要であることは周知のことである。我々は、以前、高LDLにより動脈硬化をきたすモデルマウス(apoE欠損マウス)を用い、肝に酸化LDL受容体として知られるLOX-1タンパクを過剰発現させることにより、高LDL血症の状況で酸化LDLを選択的に除去することを試みたところ、アデノウィルスによる短期(1週間程度)のLOX-1発現により、4週間の動脈硬化の進展をほぼ完全に抑制するという結果を得た。そこで、LOX-1発現を長期に行い、数ヶ月にわたり酸化LDLを減少させると、動脈硬化病変を縮小させることができるのではないかという挑戦的な仮説を立て、長期発現を試みた。長期発現を得るため、さまざまな発現モデルを試した結果、長期発現改変アデノウィルスを用いることにより、数ヶ月にわたる発現を得ることに成功した。そこで、遺伝子発現系を用い、動脈硬化が進展した週齢でのapoE欠損マウスの動脈硬化病変に与える影響を検討している。LOX-1遺伝子アデノウィルスの静脈注射により、apoE欠損マウスの肝にLOX-1は発現し、酸化LDLの肝への取り込みが認められた。動脈硬化の進展は肝LOX-1発現により、著明に抑制されたが、高コレステロールapoE欠損マウス食モデルでは、縮小効果までは見出せなかった。現在、普通食のapoE欠損マウスによる、長期間での動脈硬化の進展に対する影響を検討している。本成果は、酸化LDLの動脈硬化の進展や退縮における役割の検討につながるものと期待する。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (2件)
J CIin lnvest
巻: 121(1) ページ: 342-354
Diabetes
巻: 60(2) ページ: 537-547
Am J Physiol Cell Physiol.In Press
巻: 印刷中(未定)
PPAR Research
ページ: 8676-8678
Cell Biol Int
巻: 34(3) ページ: 293-299
Cell Biochem Fund
巻: 28(5) ページ: 387-393
J.Biol.Chem
巻: 285(20) ページ: 15538-15547
J Biol Chem
巻: 285(43) ページ: 33018-33027