研究課題
インスリンを産生・分泌する膵β細胞に甘味受容体が発現しているかどうかを検討した。その結果、膵島に甘味受容体を構成するT1R2,T1R3およびガストデューシンのmRNAが発現していた。抗T1R3抗体を用いた免疫組織化学法によりインスリンを分泌するβ細胞に発現してることが明らかになった。β細胞に発現する甘味受容体の機能を調べるために、人口甘味料スクラロースを作用させるとインスリン分泌が促進されることが明らかになった。甘味受容体の活性化するシグナル伝達系を明らかにするために、MIN6細胞を用いて検討を行った。スクラロースを添加すると細胞内カルシウム濃度とサイクリックAMP濃度が増加した。スクラロースによるカルシウム増加は二相性で、急速な第一相のピークと持続する第二相からなっていた。細胞外液カルシウムを除いたり電位依存性カルシウムチャネル阻害薬を投与すると、第一相は抑制され第二相は消失した。また細胞外液のナトリウムを除くと第二相は消失した。サイクリックAMPの上昇は細胞外液カルシウムの除去により減少したが消失はしなかった。またスクラロースの投与によりCキナーゼが持続的に活性化され、それは細胞外液カルシウムに依存していた。以上の結果から、膵β細胞には甘味受容体が発現し、カルシウム受容系とサイクリックAMP受容系を活性化させるユニークな機構でインスリン分泌を刺激することが明らかになった。
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PLoS ONE 4
ページ: E5106