自己免疫糖尿病発症に関るBリンパ球とAire遺伝子の意義について、Balb/cマウス、NODマウスにおける検討を行った。我々のグループからの既報のように(Int Immunol 1997) Bリンパ球欠損(KO) NODマウスでは、1型糖尿病の発症が抑制された。Aire遺伝子は、末梢のBリンパ球にマウスの系統に関らず発現していることが確認できた。さらに、Aire KO Balb/cマウスでは、膵島炎のみならず、むしろ膵臓炎の病態を呈することが明らかとなったため、自己抗体の産生を探索したところ、70kDの自己抗体を同定した。 一方、ヒトBリンパ球におけるAIREの意義については、AIRE蛋白が相互作用する蛋白あるいは標的遺伝子を同定するために、まず、アフィニテイ純化C.末端ペプチド抗体を用いて、AIRE遺伝子を発現しているB細胞で、Western blotを行ったところ、目的の分子量に一致したバンドとそれより短いバンドが検出された。このことはB細胞においては、AIRE蛋白の全長とともにそのフラグメントに何らかの意義があることが示唆される。そこで、今後は、免疫沈降法を用いて、相互作用する蛋白の同定を行うとともに、クロマチン免疫沈降法を用いた、転写因子としての標的遺伝子探索を行う方向で研究が展開している。
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