研究課題/領域番号 |
21659232
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 良敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (80420363)
|
研究分担者 |
澤田 誠 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (10187297)
|
キーワード | 糖尿病 / 発生 / 分化 / インクレチン / GLP-1 / バイオイメージング / L-細胞 / 創薬 |
研究概要 |
GLP1はインスリン分泌刺激作用・β細胞増殖促進作用を有し、この点に着目して開発されたGLP1アナログおよび、GLP1の分解を阻害して血中濃度を上昇させるDPPIV(dipeptydy1 peptidase4)阻害薬が糖尿病の治療薬として注目を集めている。GLP1の主要分泌源である腸管内分泌細胞、L細胞は腸管上皮内に散在し、その単離が困難なため、GLP1の分泌制御機構の詳細な解析は不可能であった。そこで我々はL-細胞の蛍光によるライブイメージングを可能とすることを目的として、GLP1の前駆体をコードするグルカゴン遺伝子に蛍光緑色蛋白を相同組み換えによりノックインしたマウス(GCG-gfp/+)を作成した。平成21年度はGCG gfp/+の腸管に蛍光を示す細胞が散在していることを確認し、蛍光免疫組織化学法により、この細胞内にGLP1・GLP2を含む分泌顆粒が存在すること、すなわちL細胞が蛍光によりラベルされていることを証明した。GCG gfP/+同士を交配してホモ接合体(GCG gfP/g)をメンデルの法則に従った確率で得られ、GCG gfP/gfpのL細胞ではGLP1・GLP2の発現は認められず、GCG gfP/gfPがグルカゴン遺伝子に由来するすべてのペプチドホルモンを欠損することを確認した。腸管の上皮細胞をディスパーゼにより分散した上でフローサイトメトリー解析を行った結果、GCG gfp/gfPにおけるL細胞の数は、GCG gfP/+と差を認めず、GLP1がL細胞の数の制御には大きな影響を与えないことが初めて明らかとなった。このモデル動物を用いることによりL細胞の増殖・分化機構を詳細に検討する一方、分散した腸管上皮細胞よりL細胞を選択的に回収して解析することにより、L細胞の増殖促進・GLP1分泌促進を作用機序とする新しい糖尿病治療戦略の創出が期待される。
|