EVI1高発現白血病は難治性白血病であり、EVI1転写因子の高発現は白血病幹細胞維持に重要な役割を有している。我々はこれまでにEVI1高発現白血病細胞がEVI1遺伝子発現に相関し高細胞接着性を有していることを同定した。さらに細胞接着性の亢進はMatrigel並びにLaminin複合体に特異的であり、その原因としてインテグリン遺伝子ファミリーの発現検討によりIntegrin alpha6とbeta4(ITGA6/ITGB4)で有ることを同定した。この二つの遺伝子のヘテロ結合により接着性の亢進が示唆されたので、shRNAの導入、ならびに特異的中和抗体を用いて細胞接着性の検討を行った。 ITGA6/ITGB4 shRNA並びに、それぞれの特異中和抗体の投与により、細胞接着能の著しい低下が見られた。また、細胞接着依存性抗がん剤耐性性(CAM-DR)を、Matrigel細胞接着性、及び抗がん剤(AraC、VP-16)を用いて検討した。Matrigel接着状態でのEVI1高発現白血病細胞株はCAM-DRを示し、shRNA並びに、それぞれの特異中和抗体を用いることで、CAM-DRの解除が見られた。従って、EVI1高発現白血病が抗がん剤耐性を示す難治性白血病の一つの理由は、このCAM-DRであり、ITGA6/ITGB4の発現に依存していることが示された。このITGA6/ITGB4遺伝子発現がEVI1転写因子による調節機構、ならびに、ITGA6/ITGB4をターゲットとした治療抗体の開発、さらにはin vivoマウスモデル動物を用いた抗体治療法の開発を引き続き行う。
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