PHF11は喘息感受性遺伝子の一つで、その遺伝子多型と高IgE血症や難治性喘息との相関が報告されている。そこでPHF11のIgE抗体産生における機能を解析する目的で、Bリンパ球でPHF11を過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、In vitroでIgG1やIgEへのIgクラススイッチや抗体産生細胞への分化を解析した。その結果、IgE陽性B細胞数はTgマウスにおいて有意に増加していた。又、培養上清中のIgE抗体価はTgマウスにおいてともに増加を認めた。さらに、In vivoでTgマウスをNP-CGG-Alumで免疫して血中特異抗体価を測定したところ、Tgマウスで免疫後2週目以降のIgE抗体価が野生型マウスよりも著しく高値を示した。さらに、Tgマウスの活性化B細胞において、IgEへのクラススイッチ過程で発現誘導がみられるIgEスイッチ領域のmRNAの発現が亢進していた。すでに、PHF11がNFkBと結合するという研究成果とIgEスイッチ領域のmRNAの発現にNFkBが重要であるという研究成果から、このmRNAのプロモーター領域におけるPHF11の結合をChIP法で解析したところ、PHF11がNFkBと複合体を形成してプロモーター領域に結合していることを明らかにした。以上の結果より、PHF11はNFkBと複合体を形成することにより安定化してIgEスイッチ領域のプロモーター領域に結合して、そのmRNAの発現を持続させることにより、IgEへのスイッチを亢進することによりIgE抗体の産生を正の方向へ促進していることが示唆された。
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