研究概要 |
1. 臍帯血のアレルゲン診断法の確立:これまで臍帯血中にIgEが検出されたとの報告はあるが、アレルゲンパターンを母体血と臍帯血で比較検討した例は無い。即ち、母子移行抗体が新生児期、乳幼児期の食物アレルギーの原因となっている可能性を検証した例は無い。その理由は、従来のCAP-RAST法は検出感度が低く、大量の血液を必要とするため、数十種類のアレルゲンパターンを検査できないためと推定している。本研究では、ダイヤモンドコーティング蛋白チップの基本技術開発を基盤にアレルゲン検出チップとして応用し、母体血、臍帯血、3、6ヶ月検診時、1歳児の血液のアレルゲンパターンを調査した。これにより母子移行が確認されているIgGと、IgE, IgAは母子移行しないことが明らかになった。従って、臍帯血で検出されたIgEは、胎内でアレルゲンによって感作され、胎児期にIgEが作られたことを意味することが、母子間のアレルゲンパターンの追求から明らかになった。 2. 検出技術の改良:2.5Åのダイヤモンドの結晶格子にカルボキシル基を導入した蛋白チップをこれまでに開発し(関連特許3件申請:国際特許1件)、高密度集積抗原のハイスループットチップを実現してきた。検出に要する時間が現在2時間であるが、これを1時間以内に短縮するため、反応温度の検討を行ったが、改善を見なかった。そこで、チップ表面固定化抗原を増加させ、感度を増して反応の初速度で判定することで、検出時間の短縮を試みることとした。
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