研究課題
希少病原体(ウイルス)によるアウトブレイクへの対応には、病原体の迅速な同定が不可欠である。しかしながら未知の病原体を同定するには数ヶ月を要する(SARSでは4ヶ月)とともに、エボラウイルス等既知の病原体に対しても検査に必要とする抗体等の検査試薬は国内にほとんど存在しない。一方、ヒトのみならず野生動物の病原体についてもゲノム情報は十分な蓄積があり、病原体のゲノムの断片さえ入手できれば、即座に対策に応用できる。我々はこれまでに10時間以内に40万クローン(クローンあたり平均230塩基配列が解読)できる次世代型シーケンサ(Roche/454GSシリーズ)を用いてヒト臨床検体より病原体ゲノムの迅速同定法の実用化を目指してきた。本研究では、患者サンプル中に混入するヒトDNA/RNAを除去する新技術の開発を主たる課題としている。これまでに、各種カラムおよびヌクレアーゼをもちいた組み合わせた核酸抽出法を用いることにより、宿主および常在細菌由来ゲノム、mRNAの混入を最小限に抑えることに成功した。さらに、Roche社が従来と向じ性能を有する小型化シーケンサー(従来の約1/5の機器価格)を開発し、大幅なコスト削減(従来の1割程度でのランニングコスト)を果たした。この新型機器を導入したことにより、コストダウンが進み、さらなる技術改良のフィージビリティー試験が可能となった。また、このプラットフォームを用いて、高ALT値を示す(病原体未同定の)献血者の血清より、G型肝炎ウイルスを特異的なプライマー、プローブ、抗体等を用いることなく検出することに成功した。
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