研究課題
乳幼児期の睡眠不足や睡眠の質の低下は、後年の多動・衝動性のリスクとなることが報告されている。小児の睡眠の判定のために、我々は多面的な新しいアプローチ法の開発を試み、以下のような成果を得た。1)睡眠ビデオグラフィ法の開発:子どもにおいて、終夜ポリソムノグラフと同時に施行し、妥当性を証明した終夜ビデオグラフィを用いて、注意欠陥多動性障害児では睡眠中の多動がどの睡眠ステージにおいても定型発達児よりも多いことを見いだした。2)睡眠質問表の開発:幼児版「子どもの眠りの質問票」の背景データを用いて、約3000名の3-6歳児から情報を収集し、標準化を行った。日本の夜間平均睡眠時間は9.7時間、平均就寝時刻が21時17分、一日平均テレビ視聴時間が2.6時間であることが判明した。さらに、1)一日のテレビ視聴時間が2時間以上、20時を過ぎた夜間の外出、保護者が0時以降に就寝することが、子どもが22時以降に就寝する、いわゆる遅寝のリスクを高めること、2)テレビ視聴時間が2時間を超えること、またテレビをつけながら就寝することが、入眠潜時を延長させ、総睡眠時間を短縮させる因子であることが示された。3)発達障害児の睡眠脳波の解析:睡眠の問題が存在する発達障害児において終夜ポリソムノグラフを行い、NREM睡眠の安定性についての解析法であるCAP(Cyclic Alternating Pattern)解析を行った結果、発達障害児ではCAPの出現が定型発達児に比して有意に多く、またCAPの指標は、多くの昼間の行動の指標と相関していることが判明した。このことはNREM睡眠の不安定性が昼間の行動に影響を及ぼしていることを示唆している。
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