子宮内膜症は免疫システム異常やダイオキシンなど環境因子に誘発される可能性も指摘されているが、我々は子宮内膜症の誘発因子として「光環境」に着目した。本研究の目的は、現代社会に特徴的な夜間照明が、エストロゲン・シグナルを介し子宮内膜症を増殖・癌化させるメカニズムを、動物モデルを用いて解明することである。 本研究では第一のステップとして、光環境が子宮内膜症を増殖・癌化させる否かを評価するために、Bmal1遺伝子レポーターシステムを導入した子宮内膜症組織を免疫不全マウスに移植し、子宮内膜症マウスモデルを作成した。 平成22年度では計画通り、第二のステップとして、(2)この「子宮内膜症モデル・マウス」を対象に、夜間照明が子宮内膜症の癌化傾向が増進することを、移植ヒト子宮内膜組織のサイズの拡大、Ki-67・ssDNA・von Willebrand factor・VEGF抗体陽性細胞の増加、エストロゲン受容体(ERα・β)発現の上昇および血中エストロゲン(E1・E2)濃度が上昇を指標として検討を開始した。 来年度においては、平成22年度の研究内容を継続し、特に移植子宮内膜組織におけるVEGF抗体陽性細胞・エストロゲン受容体(ERα・β)発現および血中エストロゲン(E1・E2)濃度の計測を進め、「子宮内膜症モデル・マウス」のエストロゲン・シグナルの内膜症組織に与える影響を評価することにより、来年度末までにエストロゲン・シグナルを介した子宮内膜症を増殖・癌化させるメカニズムに最終的な結論を出す予定である。
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