免疫機構の特徴は多数の免疫細胞が体内を移動し、相互作用し合うことによって誘導される複雑な動的システムである。したがって、免疫応答誘導プロセスにおいて皮膚免疫担当細胞の相互作用は必須であり、これらがどのように時空間的になされているかを検証する方法の導入が今後の皮膚免疫学の発展において重要課題である。近年、二光子励起顕微鏡によるリアルタイムイメージングの技術進歩が進みつつある。二光子励起は、光毒性を抑えて長時間の経時的観察が可能であるため、従来の共焦点顕微鏡に比して、組織深部の個々の細胞を「生きたまま」リアルタイムに高空間分解能で観察することが可能となる。 そこで申請者は、上記の科学技術を皮膚に応用し、皮膚免疫細胞のリアルタイムイメージングを用いて免疫制御細胞の時空間的動態と機能制御機構を解明するため、二光子励起顕微鏡により生体組織イメージング用に改変して皮膚臓器使用可能条件を探った。骨髄由来樹状細胞をCFSEで蛍光ラベルしたものをマウスfootpadに皮内投与した後に、所属リンパ節での樹状細胞のライブイメージングに成功し、リンパ節における皮膚樹状細胞の輸入管からリンパ節への移入やリンパ節の動態の解析を行うことに成功した。 さらに、皮膚のライブイメージングをマウスに麻酔をかけて行うことに成功し、生きたまま樹状細胞の皮膚免疫応答時における時空間的動態制御の解明をする系を確立した。
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