研究課題
光化学療法に用いる新たなソラレン(8-MOP)にかわる光増感薬を開発することを目標とした。活性酸素発生効率の良いフラーレン(C_60)と、腫瘍集積性や水溶性の向上が見込めるグルコースを連結し、PDT効果やメカニズム、in vivoでの効果を検討した。C_60-(Glc)1(D-グルコース連結フラーレン)もしくはC_60-(6Glc)1(マルトヘキサオース連結フラーレン)存在下で24時間インキュベートし、UVA_1 5 J/cm2を照射した。その結果、PDTは顕著な光細胞毒性効果を示した(%survival C60-(Glc)1: 1.5%、 C60-(6Glc)1:17.5%)。一方、正常ヒト線維芽細胞に対しては、PDT効果を示さなかった(%survival C60-(Glc)1:995%、 C60-(6Glc)1:98.8%)。糖鎖連結フラーレンを用いたPDTは、がん細胞に対してのみ光毒性効果を持つことが示された。in vivoでのPDT効果を調べるために、ヌードマウスにCOLO679細胞を移植した。この腫瘍に、局所注射によってC_60-(Glc)1を投与し、4時間後にUVA_1 10J/cm^2を照射した。その結果、PDTを行わなかった腫瘍に比べて、0.1mgの場合で5匹中3匹、0.2mgの場合で5匹中4匹の腫瘍の成長が抑えられた。糖鎖連結フラーレンC_60-(Glc)1やC_60-(6Glc)1は、がん細胞に対して選択的に取り込まれ、高い光毒性効果を示すことを示した。この光毒性効果は、取り込まれた糖鎖連結フラーレンがUVA_1と光化学反応を起こし、活性酸素、特に一重項酸素が発生することで生じていると考えられる。細胞への効果だけでなく、ヌードマウスの腫瘍の成長を抑えたことから、この糖鎖連結フラーレンは、PDT用の光感受性物質として有用であることが示された。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (7件) 図書 (5件)
J Invest Dermatol,(commentary) 130
ページ: 645-647
Photoderm Photoimmunol Photomedicin 25
ページ: 3-7
ページ: 30-36
ページ: 41-44
Arch Dermatol 145
ページ: 346-348
J Dermatol Sci 53
ページ: 231-233
J Eur Acad Dermatol Venereol 23
ページ: 420-424
Dermatol Surg 32
ページ: 699-703
JDS 56
ページ: 214-215
J Exp Clin Dermatol 35
ページ: 263-268
J Invest Proc Symp 14
ページ: 73-75
ページ: 53-55