研究課題
疾患モデルの開発のために、まずマウスラミニンγ1リコンビナント蛋白(C末端の107アミノ酸)を大腸菌を用いて作製した。次にこのリコンビナント蛋白をウサギへ免疫することで、マウスラミニンγ1C末端ポリクローナル抗体(以後、mLMG1c抗体と略する)を産生させ、さらにIgG分画のみに精製した。このリコンビナント蛋白およびmLMG1c抗体を用いて、後述する二つの手法で疾患モデルマウスの作製を試みた。一つはPassive modelと呼ばれる、ポリクローナル抗体をマウスへ投与する方法である。もう一つは、Active modelと呼ばれる、リコンビナント蛋白をアジュバントと共に直接マウスへ免疫する方法である。具体的にはActive modelでは、AdultマウスへmLMG1c抗体を10mg/回皮下、隔日投与で12日間行った。また新生マウスへはmLMG1c抗体を4mg/回腹腔内、連日投与で4日間行った。Active modelではリコンビナント蛋白60μgを等量のアジュバントと混合して皮下へ投与、これを4週毎、計3回(12週間)行った。最終評価はHE組織標本および蛍光抗体法で行った。結果、いずれのmodelでも肉眼的、組織学的に明らかな水疱形成は観察されなかった。蛍光抗体法に関しては、Passive modelでは直接法で表皮基底膜部へのIgG沈着が観察されたものの、補体の沈着は観察されなかった。また間接法においてもIgGの沈着が確認された。現時点までの実験ではモデルマウスは作製できなかったが、蛍光抗体法でIgGが表皮基底膜部へ沈着していることは、患者皮膚における所見と一致する。以上の実験結果からは、水庖の形成にはIgG自己抗体が表皮基底膜部へ反応するだけではなく、さらに別のメカニズムが必要である可能性が考えられる。今後さらなる実験を行っていく予定である。
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