研究概要 |
うつ病者の脳内では活性型ミクログリアが増加しており、それがうつ病の病態発生機序に関連している、との仮説が近年提唱されている。本申請研究では、Positron Emission Tomographyを用いることにより活性型ミクログリアのうつ病への関与を明らかにしすることを目的とする。対象はうつ病罹患者及び年齢・性別の一致した健常者である。Positron Emission Tomographyと活性型ミクログリアに選択的に結合するCarbon-11(R)PK-11197を用いた。活性型ミクログリア密度の産出には、健常者の時間-放射能曲線に基づく2-コンパートメントモデルを用いた。精神症状の評価には、17-item Hamilton Rating Scale for Depression(17-item HAM-D)、および、17-item Hamilton Rating Scale for Anxiety(17-item HAM-A)を用いた。これらの評価はPET検査データとはblindに、PET施行当日に行った。関心領域は10か所とした(midbrain,thalamus, caudate, putamen, amygdala, prefrontal cortex, dorsolateral prefrontal cortex, orbitofrontal cortex, temporal cortex, cerebellar cortex)。その結果、うつ病者罹患者では健常者と比較し、前頭葉の活性型ミクログリアの密度が高かった。これらから、うつ病の病態に前頭葉で増加した活性型ミクログリアが関与していることが推測された。今後、さらに症例数を増やし、事実を明らかにする必要がある。
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