双極性障害(躁うつ病)は、遺伝子を基盤として発症する疾患であるが、その原因は未だ明らかではない。これまで連鎖解析、候補遺伝子の関連解析、および全ゲノム関連解析などによって、さまざまな所見が報告されてきたが、未だ明確な原因遺伝子あるいは遺伝的危険因子が同定されたとは言い難い状況にある。双極性障害の原因遺伝子を探るためには、これまでの遺伝性疾患とは異なったアプローチによる研究も必要である。そこで本研究では、一卵性双生児不一致例におけるゲノム差異を調べることにより、双極性障害の原因遺伝子変異を探索した。書面にて説明の上同意が得られた一卵性双生児双極性障害不一致例1ペアの培養リンパ芽球由来DNAを用いた。 昨年は、NimbleGen社のエクソンキャプチャーアレイおよびRoche社の次世代シーケンサー454を用いて、Titanium試薬により、1サンプルにつき1ランを行った。その結果、平均カバレージは4.2×であり、充分とは言えなかった。そこで今年度は、Agilent社のSure Selectエクソンキャプチャーアレイを用いて、全エクソンに対応するDNA領域を濃縮したのち、Illumina社のGenome Analyzer IIを用いてシーケンスを行ったところ、充分なカバレージでのリードが得られた。当初CLC Genomics Workbenchでの解析を行ったが、不一致SNPの検出に難があるため、Avadis NGSソフトウェアに切り替えて、更なる解析を行っているところである。未だ解析中であるが、これまでの予備的な検討では、予想外に多くの不一致なSNPが検出されており、病気の不一致の原因となる遺伝子変異を特定するまでには至っていない。更なる絞り込みが必要と考えられた。
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