本研究は、腫瘍における低酸素領域とそれにともない発現する血管新生因子(チミジンボスホリラーゼ:TP)のダブルターゲットとするアイソトープ治療のためのI-131標識薬剤を合成し、その有効性と限界明らかにすることを目的とする。平成21年度において目的とする化合物(5I-6NIMUとI-AIMU)とその合成法を確立した。平成22年度は、その合成法を標識合成法へ応用すべく以下検討を行った。 1.放射性ヨウ素標識体5-ヨード-6-ニトロイミダゾールメチルウラシル([^<125>I]5I-6NIMU)の合成 6-ニトロイミダゾールメチルウラシルを[^<125>I]NISにより放射性ヨウ素標識化を行った。目的とする[^<125>I]5I-6NIMUの生成を高収率で確認できた。しかしながら単離精製後、溶媒留去の操作において放射化学的純度の低下(分解)が確認された。また、室温下1~2時間の保存において放射化学的純度の低下を認めた。 2.放射性ヨウ素標識体5-ヨード-6-アミノミダゾールメチルウラシル([^<125>I]I-AIMU) 標品の合成経路と同様に、[^<125>I]5I-6NIMUをメタノール・アンモニア水中水素雰囲気下10%パラジウム炭素により還元反応を実施した。しかしながら[^<125>I]I-AIMUを得ることに成功していない。その原因として原料[^<125>I]5I-6NIMUおよび成績体[^<125>I]I-AIMUの不安定さが考えられた。 5I-6NIMU及びI-AIMUの合成法に従い、放射性ヨウ素を用いた標識合成へ応用した。[^<125>I]5I-6NIMUの放射化学的純度は90%であったが、目的とする放射性ヨウ素化合物を得ることに成功し、アイソトープ治療のためのI-131標識薬剤への展開が示唆された。[^<125>I]I-AIMUを得ることに成功しておらず合成経路を再検討中である。
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