本研究の目的は、^<13>C-MR代謝画像を高感度で検出するために、最近臨床MR装置で用いられるようになった、フェーズドアレイコイルによるパラレルイメージング技術を応用することで、ハード、ソフトの両方の研究が要求されている。しかし、ハード面では、^<13>C-MR信号を直接に検出するアレイコイルは一般には存在せず、これを新しく製作しようとすると高額の費用が必要となる。またソフト面では我々の動物実験用の装置には、パラレルイメージングを実行するための画像処理機能は含まれていない。平成21年度には、ハード面では、現在所有している^1H-MR画像撮像用のアレイコイルと組み合わせて使用できる^<13>C-MR用のシングルコイルを製作した。これを用いて^<13>C核に隣接する^1H核に由来する信号を選択的にアレイコイルで検出する予定である。ソフト面では、^1H-検出による^<13>C-MRスペクトロスコピー法を実行するためのパルスプログラムを製作してパラメータの最適化などの準備を整えている。パラレルイメージング手法を応用した代謝画像を構成することは、現有のMRコンソールでは実行不可能であるため、パラレルイメージング画像の生データを外部コンピュータに取り出し、フーリエ変換と重畳信号の展開などのデータ処理を行うプログラムを開発した。21年度末には、ほぼ満足できる結果が得られるようになった。しかし、重なった信号の位相の調整などまだ改良の余地を残している。平成22年度は本研究計画の最終年度にあたるので、これらの撮像のためのフェーズドアレイコイル、^1H-検出による^<13>C-MRスペクトロスコピー法のパルスプログラム、^<13>C-MR代謝画像構築のためのデータ処理プログラムを最適化して、動物実験でこの方法の有用性を検証したいと考えている。
|