研究概要 |
進行期子宮頸癌の治療効率を向上させるためには放射線抵抗性に関与する遺伝子を追求し治療戦略を立てる以外に方法はない。我々は放射線治療後に進展・転移をきたした症例を対象にゲノム解析を行い、TTK(T cell tyrosine kinase)/hMps1(human monopolar spindle 1 kinase)遺伝子を抽出した。また、Real-time PCRを施行し生死をエンドポイントとした単変量解析、多変量解析の結果、TTK/hMps1遺伝子が放射線抵抗性に最も関与した。これらの研究を基に、進行期子宮頸癌において治療効率を向上させるためにはTTK/hMps1遺伝子の機能解析が重要であると考えたのが本研究の目的である。TTK/hMps1遺伝子の役割について、臨床サンプルを用いてTTK/hMps1遺伝子と癌抑制遺伝子p53やpRB、HPVとの関係を検討することを計画し、以下の方法で検索した。 (1)癌組織採取 放射線治療を目的に受診する子宮頸癌患者を対象とし、初診時に組織採取を行うことを十分に説明し、了承が得られた後に同意書に署名をいただきBiopsyを行った。検体を-80℃に保存した。 (2)mRNAの抽出による遺伝子発現量のコンピューター解析 mRNAを抽出し、アレイスキャナーにてシグナルを検出して,ソフトウェア(Array vision, Amersham Pharmacia Biotech社製)によってシグナルを数値化し,TTK/hMps1、p53、pRB遺伝子の発現量を求めた。 (3)Real-time PCRによる相互関係の検索 TTK/hMps1、p53、pRB mRNAはRT-PCRを行い、dRhodamine Terminater Cycle Sequencing Kits, FS(ABI)でシークエンス反応を行った。
|