研究概要 |
『消化器外科領域における自己生体素材を用いた再生医療の開発』を行うに当たり、細胞材料とその足場の開発が必要と考えている。本年をこの2つの因子のうちの細胞材料の検討期間と位置づけ、その採取法の確立と安定化を目的に研究を行った。計画書において、生体材料の候補として脂肪由来幹細胞(ADSC)、皮膚幹細胞、頬粘膜細胞、大腸上皮細胞を列挙した。このうち細胞数の確保が見込め、生体にとって比較的低侵襲に採取可能と考えられる皮下組織からのADSC採取を第一候補と考えた。実際確立した手技は以下のとおりである。採取の対象としてBL6マウス(C57BL/6J,10週齢,オス)を選択した。皮膚切開を加え、皮下脂肪を採取する。採取された皮下脂肪をコラゲナーゼや物理的な消化を加えたのち、70μmセルストレイナーを通してselectionを行う。こうすることで1匹あたり、5x10^6個の細胞成分が得られ、その生存率は85%であった。これを胞培養用のdishに播種し、翌日にはその1~2%の細胞がADSC様の細胞として観察された。採取した細胞は初代培養から7日おきの継代を行い、最大14代まで継代を確認した。われわれが得た細胞が他の報告と遜色がないことを確認するために、1代目、4代目、8代目にてフローサイトメトリーにて表面抗原の解析を行った。結果Sca1陽性,CD44陽性,CD45陰性,CD31陰性であり、既存の報告と同様であった。
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