研究課題/領域番号 |
21659305
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大段 秀樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10363061)
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研究分担者 |
井手 健太郎 広島大学, 病院, 助教 (50511565)
田中 友加 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90432666)
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キーワード | 肝臓移植 / C型肝炎 / Nk細胞 / NKT細胞 / 細胞移入療法 |
研究概要 |
我々は、自然免疫応答を司るnatural killer(NK)/NKT細胞を、肝臓移植時にグラフト肝の灌流排液から大量に採取する技術を開発し、肝組織に傷害なく強いIFN-γ依存性抗C型肝炎ウイルス(HCV)効果を誘導することに成功した。ドナー肝NK/NKT細胞を移入する細胞療法をHCV性肝硬変患者に対する肝移植後に施行したところ、術後のHCV RNA量は有意に減少した。この抗HCV免疫細胞療法を発展させるため、末梢血リンパ球をIL-2と抗CD3抗体の存在下で長期培養し、IFN-γ依存性抗HCV効果を持つ増殖性CD56^+細胞を誘導した。 健常人ボランティアから採取した末梢血単核球を4週間、IL-2および抗CD3モノクローナル抗体の存在下で培養すると、CD3^-CD56^+細胞あるいはCD3^+CD56^+細胞のいずれかに分化し、増殖率は約70倍であった。HCVレプリコン保持肝細胞株をウェル下層に、末梢血から誘導したCD3^-CD56^+細胞あるいはCD3^+CD56^+細胞をトランスウェル上層で培養した細胞非接着トランスウェルシステムで混合培養すると、培養上清中へのHCVコア抗原の遊離量が細胞用量に依存して抑制された。とくにCD3^-CD56^+細胞においては、著明なHCV増幅抑制効果が確認され、その効果はIFN-γブロッキング抗体の添加により解除された。 次に、ヒト末梢血由来増殖性CD56^+細胞の抗HCV in vivo効果を検討するため、HCV感染ヒト肝細胞キメラマウスモデルを確立した。すなわち、ヒト肝細胞キメラマウスにHCV RNA高値患者(genotype Ib)の血清を移入し、血液中のHCV RNA量の推移によってリンパ球移入のタイミングを決定した。
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