研究課題/領域番号 |
21659314
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小暮 公孝 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (20125850)
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研究分担者 |
星野 洪郎 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00107434)
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
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キーワード | 肝不全 / 補助肝臓 / 有茎腸管内肝組織移植 / 肝移植 |
研究概要 |
【研究目的】肝不全患者の救命には現在では肝移植が最も効果的な治療法であるが、ドナー不足の現状から有効な補助肝臓の開発が求められている。しかし、体外型補助肝臓装置は複雑で、また、高価である。本研究は有茎腸管グラフト内に肝組織を移植する安価で効果的な補助肝臓の開発を目的としている。昨年度は安定した有茎腸管グラフト内肝組織片充填移植術式を確立することができた。しかし、有茎腸管グラフト内に移植した肝組織片は7日間ほどはviableで癒合し、増殖して生着したが、30日ほど経過する間にグラフト腸管はviableであるのに対して充填した肝組織片は次第に、壊死、融解してしまった。そこで本年度は有茎腸管グラフト内に充填した肝組織片の長期生着をめざして実験を行った。【改良方法】1.従来は1本だった有茎腸管グラフトのfeederを2本にする。2.従来は有茎腸管グラフトを脱転してメスでその粘膜を削いでいたのを、これを脱転せずに鋭匙を用いて腸管粘膜を削ぐ。3.従来はグラフト腸管の捻転を防止するためにグラフト腸管をアロンアルファーで残肝に固定していたが、これを大網で包んで後腹膜に固定する。4.グラフト腸管の前壁に針穴を3個ほどあけグラフト腸管内の浸出液あるいは腸粘膜からの分泌液を腹腔に逃す。【結果】これらの工夫によりグラフト腸管内に充填された肝組織片は腸管壁に癒合、生着し、移植30日後でも50%以上の肝組織片が遺残して、顕微鏡的にも肝の組織形態を保持していた。【結語】有茎腸管グラフトの中では皮下や腹腔内などの他部位ではすぐに壊死してしまう肝組織片でも互いに融合して腸管壁に生着するが、今回のような工夫により、更に、長期間生着することが確認された。今回の研究により有茎腸管グラフト内肝組織片充填方式は肝不全治療の有効な補助肝臓開発につながる可能性が示された。
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