研究概要 |
肝細胞癌を有する患者で肝切除あるいは肝移植を行う症例を対象とし、骨髄液および末梢血を採取し、骨髄への微小転移(disseminated tumor cells, DTCs)および血中遊離細胞(Circulating tumor cells CTCs)の抽出と新規分子マーカーの探索を目的として研究を進めてきた。本年度施行した肝切除・肝移植症例全症例より、末梢血および骨髄液を術前・術後(骨髄液は術前のみ)に採取した。まず、これらの検体を用いて、density-gradient法およびCD45およびTer119でnegativesortをかけ、CD45(-)Ter119(-)細胞の分離抽出を開始し、本年度は特に、癌の分野でもその発現が発育・進展に関与している機能性non-coding RNAであるマイクロRNA(miRNA)の関与について、中心に研究を進めてきた。採取した臨床検体を用いて、まず関連するmiRNAについて約800のマイクロRNAアレイ解析を施行したところ、肝癌の転移に関して重要と考えられる十数種類の候補miRNAが同定された。これらの同定された候補miRNAについて、その発現量と臨床成績などについて比較検討し、絞り込みを行うともに、肝癌細胞株(HepG2、Huh7、PLC、MIHA、Hep3B、MHCC97Lなど)を用いてpre-miRの導入/anti-miRによる発現阻害により,転移形成能、浸潤能、増殖能、などについての解析を施行し、その可能性を確認した。
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