研究概要 |
モヤモヤ病は両側内頸動脈終末部、前・中大脳動脈近位部が進行性に狭窄・閉塞し、付近に異常血管網の発達を認める原因不明の疾患である。本疾患に対する治療法としては浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術(直接血行再建術)や側頭筋や硬膜からの血管新生を期待したpial synangiosis(間接血行再建術)が確立されている。しかしながら血管新生のメカニズムは不明な点が多く、その発達を促進する手法も確立されていない。本研究ではモヤモヤ病における間接血行再建術後の血管新生の病態を明らかにし、最終的にはモヤモヤ病間接血行再建術中・術後に側頭筋上に脳損傷閾値以下の過剰圧の微弱衝撃波を照射することにより脳組織を損傷することなく、血管新生を誘導する手法を確立することを目的にしている。本年度は初年度として下記を行った。 (1)ラット両側頚動脈遮断による慢性脳虚血モデルに対する側頭筋による間接血行再建術と側頭筋上からの各過剰圧の衝撃波照射のモデルを作成した。(2)各過剰圧の衝撃波照射後に側頭筋下の皮質神経細胞の組織損傷の程度を組織染色とTUNEL染色にて解析し側頭筋上からの衝撃波照射の安全閾値を検討した。直接照射では1MPaにてアポトーシス(TUNEL陽性細胞)出現を認めたが側頭筋下では10MPaが損傷閾値と考えられた。(3)血管新生因子の候補蛋白を明らかにする目的でもやもや病患者クモ膜を触染色しMMP-2,MMP-9,TIMP-2,VEGFの発現上昇を確認した。術後MRAにて血清マーカーと術後の間接血行再建術からの新生血管発達の程度の関連を検討した。
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